「まわりの子はサッカーに夢中だったり、恐竜博士だったりするのに、うちの子には夢中になれるものがない」
「『何がやりたいの?』と聞いても、『別に……』としか返ってこない」
お子さんの「好きなことのなさ」が気になって、この記事にたどり着いた方も多いと思います。最初にお伝えしたいのは、「好きなことがない」のは、その子に何かが欠けているサインではないということです。好きなことは、頭の中で探して見つけるものではなく、たくさんの体験のなかで偶然出会い、少しずつ育っていくもの。まだ出会っていないだけ、というのがほとんどです。
この記事では、山形市・米沢市で探究教室を運営するESTEMが、「好き」が見つからない本当の理由と、家庭でできる興味の種のまき方、そして親がやりがちなNG対応について解説します。
この記事の要点
- 小学生のうちに夢中になれるものが定まっていないのは、ごく自然なこと。心配して急かす必要はない
- 「好きなことを探しなさい」で見つからないのは、人は知らないものを好きになれないから。必要なのは内省ではなく体験の数
- 親にできるのは「見つけさせる」ことではなく「出会いの機会を増やし、芽が出たときにつぶさない」こと
「好きなことがない子」は珍しくない、むしろ自然
「好きなことがある子」は目立ちます。虫に詳しい子、絵ばかり描いている子、電車の名前を全部言える子。そういう子が身近にいると、わが子の「特にない」が心配になるのは当然です。
でも、教室でたくさんの子どもたちと接していて感じるのは、最初から夢中なものを持っている子のほうがむしろ少数派だということです。小学生の時期は、自分が何を面白いと感じるのかを、体験を通して確かめている真っ最中。この段階で「好き」が定まっていないのは、発達として何もおかしなことではありません。
むしろ注意したいのは、心配のあまり「あなたは何が好きなの?」「何かひとつくらい夢中になれるものを見つけなさい」と迫ってしまうことです。問い詰められた子どもは「好きなことがない自分はダメなんだ」と感じてしまい、新しいことに手を出すのがかえって怖くなります。
なぜ「好きなことを探しなさい」では見つからないのか
理由はシンプルで、人は、知らないものを好きになることができないからです。
考えてみてください。虫が好きな子は、虫を捕まえた体験があります。絵が好きな子は、描いて誰かに喜ばれた体験があります。「好き」はいつも体験のあとにやってくるのであって、頭の中を探しても出てきません。子どもが「別に……」と答えるのは、やる気がないのではなく、自分の中の選択肢がまだ少ないだけなのです。
だから、親がすべきことは「探させる」ことではありません。順番が逆で、出会いの機会を増やすことです。体験の数が増えれば、そのうちのどれかに心が動く瞬間が必ず来ます。最初は「ちょっと面白いかも」程度の小さな芽です。その芽をつぶさずに水をやれるかどうかが、親の腕の見せどころになります。
家庭でできる、興味の種のまき方5つ
① 親自身が楽しんでいる姿を見せる
子どもは「楽しそうにしている人」に強く影響されます。親が料理でも釣りでも読書でも、何かを心から楽しんでいる姿は、「世の中には面白いことがあるらしい」といういちばんの証拠になります。子どものためのお膳立てより先に、まず親が自分の「好き」を隠さないこと。一緒にやってみる?と誘えれば、それが最初の体験になります。
② 子どもの「なんで?」を一緒に面白がる
子どもの興味の芽は、「なんで空は青いの?」「なんで氷は浮くの?」といった素朴な疑問の形で顔を出します。ここで大事なのは、正解を教えることではなく、「たしかになんでだろうね?」と一緒に不思議がって、一緒に調べることです。疑問を面白がってもらえた経験は、「考えること自体が楽しい」という感覚につながります。忙しいときは「それ、あとで一緒に調べよう」とメモするだけでも十分です。
③ いつもと違う場所・人・ものに触れる機会をつくる
家と学校の往復だけでは、出会える体験の種類に限りがあります。博物館や科学館、図書館、自然の中、地域のイベント、ものづくりのワークショップ——山形には季節ごとに子どもが参加できる催しが意外とたくさんあります。ポイントは、親が「教育に良さそうなもの」だけを選ばないこと。何に反応するかは子どもにしかわからないので、ジャンルはあえてバラバラにするのがコツです。
④ 「すぐやめること」を責めない
いろいろ試せば、当然「合わなかったもの」も増えます。ここで「また飽きたの?」「最後までやりなさい」と責めてしまうと、子どもは新しいことに手を出すこと自体をやめてしまいます。試して、違ったら次へ行く。これは飽きっぽさではなく、自分に合うものを見つけるための健全な試行錯誤です。「やってみたからわかったんだね」と、試したこと自体を認めてあげてください。
⑤ 結果ではなく、熱中している瞬間に注目する
「好き」の芽は、成果ではなく様子に表れます。時間を忘れて何かをいじっている、同じ図鑑ばかり眷めている、作ったものを見せに来る——そんな瞬間を見つけたら、「上手だね」より「これって〇〇ってこと?教えて〜」と興味の中身を聞いてあげるのが効果的です。自分の「面白い」を言葉にして受け止めてもらう経験が、興味を自覚に変えていきます。
やってしまいがちなNG対応
よかれと思ってやってしまいがちな対応も、3つだけ挙げておきます。
- ほかの子と比べる:「〇〇くんはあんなに夢中なのに」は、興味を育てるどころか自信を削ります。興味の現れ方も時期も、子どもによってまったく違います
- 親の好みに誘導する:親がやらせたいこと(勉強に役立ちそうなこと)ばかり勧めると、子どもは「自分の好き」ではなく「親が喜ぶもの」を探すようになります
- 始めた瞬間に投資しすぎる:少し興味を見せた途端に道具一式を買い揃えると、子どもにとって「やめられないプレッシャー」になります。芽の段階では、小さく試せる形が一番です
それでも見つからないときは、「体験の場」を借りるのもひとつの手
とはいえ、平日は仕事、週末は家のこと——家庭だけで体験の機会を増やし続けるのは、正直大変です。そんなときは、いろいろな分野に触れられる「場」を借りるという方法があります。
私たち探究教室ESTEM(山形市本町・やまがたクリエイティブシティセンターQ1内/米沢市金池)は、まさにこの「興味との出会い」を毎週つくるための教室です。科学・アート・ものづくり・お金・映像など毎月テーマが変わる授業で、子どもたちは五感を使ってさまざまな分野の面白さに触れていきます。テーマが毎月変わるからこそ、「今月はピンと来なかったけれど、来月のテーマには夢中になった」ということが自然に起こります。まさに、興味の種まきを仕組みにした場所です。
体験コースの料金は、低学年体験プラン(小1〜3年生)が月額13,000円、高学年体験プラン(小4年生以上)が月額15,000円(税込)で、入会金・教材費はかかりません。教室の考え方はESTEMについてで、コースの詳細は授業コース・料金プランで紹介しています。習い事全般の選び方はコラム「山形市の小学生の習い事|後悔しない選び方5つの視点」もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. ゲームやYouTubeばかりです。これは「好きなこと」に入りますか?
A. 入口としては十分アリです。大事なのは、受け身で消費しているだけか、そこから「作る側」への興味が生まれるかです。ゲームが好きなら「作ってみる」体験につなげられますし、YouTubeが好きなら動画を撮って編集する体験につなげられます。頭ごなしに取り上げるより、その熱を一歩だけ「作る側」にずらしてあげるのがおすすめです。プログラミングやものづくりへのつなげ方はコラム「山形・米沢のプログラミング教室選び」でも解説しています。
Q. 何をやらせてもすぐ飽きます。問題ないのでしょうか?
A. 小学生のうちの「すぐ飽きる」は、多くの場合、問題ではなく探索です。合うものを見つけるには、合わないものをたくさん知る必要があります。心配なのは飽きることではなく、飽きた経験を責められて「新しいことを試さなくなる」ことのほうです。試行錯誤の回数は、むしろ財産だと考えてあげてください。
Q. 好きなことがないまま大人になってしまわないか不安です
A. 「好き」との出会いに、期限はありません。中学生や高校生、大人になってから夢中になれるものに出会う人もたくさんいます。小学生のうちに身につけておきたいのは、特定の「好き」そのものよりも、「新しいことを面白がって試せる姿勢」です。それさえ育っていれば、人生のどの段階でも「好き」に出会えます。逆説的ですが、焦らないことがいちばんの近道です。
まとめ|「好き」は探すものではなく、出会うもの
最後にポイントをまとめます。
- 「好きなことがない」のは欠点ではなく、まだ出会っていないだけ
- 人は知らないものを好きになれない。必要なのは内省ではなく体験の数
- 親の役割は「見つけさせる」ことではなく、出会いの機会を増やし、小さな芽をつぶさないこと
- 試してやめるのは健全な試行錯誤。責めずに「試したこと」を認める
お子さんの「別に……」は、終わりの言葉ではなく、始まりの前の静けさです。焦らず、いろいろな世界の扉を一緒に開けてみてください。
「家庭だけでは体験の幅に限界がある」「いろいろな分野に触れられる場所を探している」という方は、探究教室ESTEMの授業をぜひ一度見学・体験してみてください。山形校・米沢校ともに、ご相談を随時受け付けています。
