「電気も火も使っていないのに、まぜただけで光った!」
コンサートのペンライトやお祭りの光るブレスレットを、ポキッと折って光らせたことはありませんか。あの光の正体が、今回のテーマ「化学発光(かがくはっこう)」です。

結論からお伝えすると、化学発光は薬品どうしが反応するときのエネルギーが、熱ではなく光になって出てくる現象です。市販の実験キットを使えば家庭でも手軽に再現でき、「どうして光るの?」「どうすれば好きな色を作れるの?」と問いを広げやすい、自由研究にぴったりの題材です。

この記事では、化学発光が光る仕組みを3ステップでかみくだいて説明したうえで、家庭でできる実験の手順と安全上の注意、自由研究へのまとめ方までを解説します。2026年9月5日(土)開催の「2026青少年のための科学の祭典in山形」でこの実験のブースを出展する、山形の探究教室ESTEMがお届けします。イベントで体験してくれた方は、おうちでの「もう一回やってみたい!」にぜひつなげてください。

この記事の要点

  • 化学発光は、薬品の反応エネルギーが熱ではなく光になる現象。電気も火も使わず、さわっても熱くないのが特徴です。
  • 理科教材メーカーのキットを使えば、家庭でも実験できます。赤・緑・青の光をまぜて「光の三原色」まで学べます。
  • 「なぜ同じ量ずつまぜても白く光らないの?」のような問いを1つ決めれば、そのまま自由研究になります。まとめ方のコツも紹介します。

化学発光とは?電気も火も使わないのに光る仕組み

化学発光とは、化学反応で生まれたエネルギーが光として放出される現象のことです。電球は電気を流して光らせますが、化学発光は薬品どうしをまぜるだけ。熱ではなく光にエネルギーが変わるため、光っている液体をさわってもあたたかくありません。「冷たい光」と呼ばれることもあります。

身近な例が、コンサートやお祭りで使うケミカルライト(サイリウム)です。スティックを折ると中の容器が割れて2種類の液体がまざり、光り始めます。また、夏の夜に光るホタルも、体の中で起こる化学反応で光る「生物発光」という、化学発光の仲間です。

実験でよく使われるのは、蛍光液(シュウ酸エステルと蛍光色素をふくむ液)と酸化液(過酸化水素をふくむ液)の組み合わせです。光るまでの流れは、次の3ステップで説明できます。

ステップ

おこること

① まざる

蛍光液のシュウ酸エステルと酸化液の過酸化水素が出会って反応し、エネルギーをためこんだ、とても不安定な物質ができます。

② エネルギーが生まれる

不安定な物質はすぐにこわれて二酸化炭素になります。このとき、ためこんでいたエネルギーが放出されます。

③ 光る

放出されたエネルギーを蛍光色素が受け取り、元気いっぱいの状態(励起状態)になります。そして、エネルギーを光として出しながら、もとの状態にもどっていきます。

つまり「反応で生まれたエネルギーのバトンを、蛍光色素が受け取って光に変える」のがポイントです。どの色に光るかは、バトンを受け取る蛍光色素の種類で決まります。赤く光る色素、緑に光る色素、青く光る色素を使い分けることで、いろいろな色の光が作れるのです。

赤・緑・青の光がそろうと白になる?光の三原色のふしぎ

化学発光の実験がおもしろいのは、光らせて終わりではなく、そこから「色の科学」に進めるところです。キーワードは光の三原色(赤・緑・青)です。

絵の具は、まぜればまぜるほど色が暗くにごっていきます。ところが光は逆で、重ねれば重ねるほど明るくなり、赤・緑・青の3つの光がぴったり重なると白い光になります。テレビやスマホの画面も、この仕組み(加法混色)で無数の色を作っています。

くらべるもの

絵の具(色の三原色)

光(光の三原色)

3つの色

シアン・マゼンタ・イエロー

赤・緑・青

まぜる(重ねる)と

だんだん暗くなる

だんだん明るくなる

3つそろうと

黒に近い色

白い光

ここで実験してみると、不思議なことに気づきます。赤・緑・青の蛍光液を同じ量ずつまぜても、なかなかきれいな白にはならないのです。

理由は主に2つ考えられます。1つは、蛍光色素の種類によって光の強さ(発光のしやすさ)がちがうこと。もう1つは、人間の目には緑の光をもっとも明るく感じる性質があることです。同じ強さの光でも、緑は明るく、青や赤は暗めに見えるため、同じ量ずつでは色のバランスがかたよって見えてしまうのです。

だからこそ、「何をどれだけ増やせば白に近づくのか」を、量を変えながら自分の目で確かめる価値があります。この試行錯誤こそが、自由研究のいちばんおもしろいところです。

おうちでできる化学発光の実験手順

薬品を1つずつ自分でそろえるのは大変ですが、理科教材メーカーから家庭でも使える実験キットが販売されています。私たちESTEMがイベントブースで使うのは、ケニス社の「化学発光学習キット 光の三原色」です。赤・緑・青の蛍光液各50mLと酸化液50mL×3本のセットで、通販サイト(モノタロウ)などで購入できます(税込3,850円 ※2026年9月執筆時点)。蛍光液と酸化液をまぜるだけで発光し、後片付け用の吸収シートも付属しています。

実験の手順(5ステップ)

  1. 暗くできる部屋と時間帯を選ぶ。夜、またはカーテンを閉めた部屋がおすすめです。光の色の観察は、暗いほどよく分かります。
  2. テーブルに新聞紙などをしき、保護めがねと手袋を用意する。透明なカップや計量スプーンもあると便利です。
  3. 蛍光液と酸化液を説明書どおりの量でまぜる。まぜた瞬間から光り始めます。まずは赤・緑・青を1色ずつ別のカップで光らせて、色と明るさを観察しましょう。
  4. 色をまぜて変化を調べる。2色をまぜたら何色に見える?3色まぜたら白くなる?量を変えると?──予想してからまぜるのがコツです。3色のカップを一列に並べて、はなれて見る方法もあります。
  5. 記録を取る。まぜた量・見えた色・気づいたことをメモし、写真も撮っておきます。暗い場所での撮影になるので、スマホを固定するとブレにくくなります。

安全とあとかたづけのチェックリスト

  • 薬品を使う実験なので、小学生は必ず大人といっしょに行う(低学年は、まぜる操作は大人が担当し、観察と記録を子どもが担当する分担もおすすめです)
  • 薬品を口に入れない・目をこすらない。皮ふや目についたら、すぐに大量の水で洗う
  • 窓を開けるなど、換気をしながら行う
  • 飲食物と薬品を同じテーブルに置かない
  • 使い終わった液は、キットの説明書どおりに処理する(付属の吸収シートに吸収させて可燃ごみへ)
  • 薬品は時間がたつと反応が弱くなることがあるため、購入したら早めに使い切る

自由研究にまとめるコツ|「問い」を1つ決めよう

「光らせてきれいだった」で終わらせず、自由研究に仕上げるコツは、自分の「問い」を1つ決めて、予想→実験→結果→考察の順に確かめることです。化学発光なら、たとえばこんな問いが立てられます。

  • 赤・緑・青を同じ量ずつまぜると、本当に白くならないのか?
  • 白い光に近づけるには、どの色をどれくらい増やせばいいのか?
  • 液の温度を変えると(あたためる・冷やす)、明るさや光り方は変わるのか?
  • 部屋の明るさによって、光の色の見え方はどう変わるのか?

問いの立て方に迷ったら、自由研究のテーマが決まらない!子どもの「問い」の立て方の記事が参考になります。実験の記録をレポートや模造紙に仕上げる手順は自由研究のまとめ方で詳しく解説しています。

「もう夏休みは終わってしまった」という方も、心配いりません。自由研究は夏だけのものではなく、学校の理科の発展学習や科学系のコンクールへの挑戦、来年のテーマの下ごしらえとして、1年中いつ取り組んでも価値があります。まぜるものを変えて性質を調べるスライムの自由研究や、手作り発電機に挑戦する電磁誘導の自由研究など、季節を問わず楽しめる実験テーマもあわせてどうぞ。

9月5日は「科学の祭典in山形」のESTEMブースへ

探究教室ESTEMは、2026年9月5日(土)に山形市で開催される「2026青少年のための科学の祭典in山形」に、化学発光の体験ブース「まぜて作ろう!ふしぎな光」を出展します。赤・緑・青の光を実際にまぜながら、自分の好きな色の光づくりに挑戦できます。

項目

内容

イベント名

2026青少年のための科学の祭典in山形

日時

2026年9月5日(土)午前の部10:00〜12:30/午後の部13:00〜16:00

会場

霞城セントラル・やまぎん県民ホール(山形市)

参加費

無料(申込不要)

ESTEMブース

「まぜて作ろう!ふしぎな光」(化学発光×光の三原色の体験)

科学実験や工作を無料で体験できるブースが多数出展される、山形の子どもたちにとって年に一度の大きな科学イベントです。開催内容の最新情報は、山形県の公式サイトをご確認ください。

「なぜ?」をとことん深掘りできる場所|探究教室ESTEM

「どうして光るの?」「なんで白くならないの?」──こうした子どもの「なぜ?」を1回の実験で終わらせず、深掘りしつづけられる場所として、私たちは山形市と米沢市で探究教室ESTEMを運営しています。

ESTEMの授業は毎月テーマが変わるのが特徴です。今回のような科学実験だけでなく、アート・ものづくり・お金・映像など、1年間で十数分野を体験できます。「理科は好きだけど、ほかに何が好きかはまだ分からない」という子ほど、思いがけない分野との出会いが生まれます。

入会金・教材費はかからず、月謝は低学年体験プラン(小1〜3)が月13,000円、高学年体験プラン(小4以上)が月15,000円(いずれも税込)です。教材費ゼロなので、興味が変わっても道具が無駄になりません。山形校は山形市本町のやまがたクリエイティブシティセンターQ1内、米沢校は米沢市金池にあります。コースの詳細はコース・料金ページを、各校の場所や雰囲気は山形校米沢校のページをご覧ください。

よくある質問

Q. 化学発光の実験は何歳からできますか?

キットの対象年齢は商品説明や説明書で確認してください。薬品を扱うため、小学生は年齢を問わず必ず大人といっしょに行いましょう。低学年のうちは、まぜる操作を大人が担当し、子どもは「予想する・観察する・記録する」役に回るだけでも十分に学びになります。

Q. 材料はどこで買えますか?

理科教材メーカーの化学発光キットが、モノタロウなどの通販サイトで購入できます。薬品を単体で個人がそろえるのは入手や管理の面でハードルが高いため、必要な薬品と後片付け用品がセットになったキットの利用をおすすめします。

Q. 家でやっても危なくないですか?

学校教材メーカーのキットは、授業や家庭学習で使われることを想定して作られています。ただし薬品であることに変わりはないので、説明書の注意事項を守り、保護めがね・手袋・換気・大人の付き添いを徹底してください。この記事のチェックリストも活用していただければと思います。

Q. 夏休みが終わっていても自由研究になりますか?

なります。学校によっては2学期以降も理科の発展学習や探究の時間で発表の機会がありますし、科学系のコンクールは1年を通じてさまざまなものが開催されています。「おもしろい」と思った瞬間に始めるのが、いちばん深い研究につながります。

まとめ|「きれい!」から「なぜ?」へ

  1. 化学発光は、薬品の反応エネルギーが熱ではなく光になる現象。さわっても熱くない「冷たい光」です。
  2. 光の三原色(赤・緑・青)は、重ねるほど明るくなり、3つそろうと白い光になります。ただし同じ量ずつでは白く見えず、そこに探究の種があります。
  3. 市販キットを使えば家庭でも実験でき、「問い」を1つ決めて量や条件を変えながら確かめれば、そのまま自由研究になります。

「きれい!」で心が動いた瞬間は、学びを始める最高のタイミングです。その「なぜ?」を、ぜひおうちで、そして教室で、いっしょに深掘りしていきましょう。

探究教室ESTEMでは、山形校・米沢校で体験授業を受け付けています。コースや料金の詳細はコース・料金ページを、体験のお申し込み・ご質問はお問い合わせページからお気軽にどうぞ。