「探究の時間のテーマ、まだ決まってない。周りはもう調べ始めてるのに」
「とりあえずSDGsの一覧から選んだけど、正直、全然興味が持てない……」

この記事は、高校(や中学)の「総合的な探究の時間」のテーマが決まらずに困っている人に向けて書いています。最初に言っておくと、テーマが決まらないのは、あなたに考える力がないからではありません。原因ははっきりしていて、「立派なテーマ」を探そうとしているからです。探す場所を「社会課題の一覧」から「自分の中」に切り替えれば、テーマは見つかります。しかも、そのほうが評価も結果的に高くなります。

この記事では、山形市・米沢市で探究教室を運営し、中高生の探究に1on1で伴走しているESTEMが、「自分ごと」のテーマの見つけ方を3ステップで解説します。保護者の方が読んで、お子さんに共有してもらうのも歓迎です。

この記事の要点

  • テーマが決まらないのは「立派なテーマ」を探しているから。SDGs一覧から選んだ借り物のテーマは、自分ごとにならず作業になる
  • テーマ=「自分の興味」×「問い」。部活・推し・バイト・ゲーム・地元への違和感——入り口は何でもいい
  • 完璧なテーマを決めてから動くのではなく、小さく調べ始めてから絞る。動きながら決めるのが探究のコツ

なぜテーマが決まらないのか——「立派なテーマ」の罠

探究のテーマ決めで多くの人がやってしまうのが、「環境問題」「少子高齢化」「食品ロス」のような社会課題の一覧を眷めて、その中から選ぼうとすることです。どれも大事な課題です。でも、あなた自身がその課題に出会った経験がなければ、それは借り物のテーマです。

借り物のテーマで探究を始めると、何が起きるか。調べても他人事なので疑問が湧かず、ネットのまとめを写すだけの「作業」になります。発表もどこかで聞いたような内容になり、質問されると答えに詰まる。テーマが立派なのに探究がつまらなくなるのは、この構造のせいです。

逆に、うまくいく探究は例外なく「自分ごと」から始まっています。順番が逆なのです。課題の一覧からではなく、自分の興味や引っかかりから出発して、それを社会とつなげていく。これがテーマ探しの正しい向きです。

テーマの正体は「自分の興味」×「問い」

探究のテーマは、突き詰めるとこの掛け算でできています。

テーマ = 自分の興味 × 問い(確かめたい・解決したいこと)

「興味」は、立派である必要はまったくありません。むしろ、あなたがすでに時間を使っているものほど強い燃料になります。たとえばこんな変換ができます。

入り口(興味)

問いの例

つながる分野

音楽・推し活

なぜ流行る曲は似ているのか? 推し活は地域経済をどれだけ動かすか?

音楽理論、心理学、経済

部活(スポーツ)

練習メニューは本当に効率的か? ケガを減らす方法は?

スポーツ科学、データ分析

ゲーム

人はなぜ課金するのか? eスポーツはまちおこしになるか?

行動経済学、地域振興

コンビニのバイト

廃棄はなぜ出る? どうしたら減らせる?

食品ロス、物流、経営

地元への違和感

なぜ駅前に人がいないのか? 高校生が集まれる場所を作るには?

まちづくり、都市計画

気づいたでしょうか。右の列は、結局「社会課題」につながっています。自分の興味から出発しても、掘っていけば必ず社会と接続するのです。違いは、出発点が自分ごとかどうか。それだけで、調べる意欲も、発表の説得力も、まったく変わります。

「自分ごと」のテーマを見つける3ステップ

ステップ① 自分が時間を使っているものを10個書き出す

まず、テーマのことは忘れて、自分が実際に時間を使っているもの・気になっているものを10個書き出してください。部活、推し、ゲーム、バイト、SNSでつい見てしまうジャンル、地元のモヤモヤ、進路の不安——「探究に使えそうか」の判断は一切しないこと。くだらなく見えるものほど、本物の燃料です。

ステップ② 3つの型で「問い」に変換する

書き出した興味に、次の3つの型を掛けてみます。

  • 「なんで?」:不思議に思うことは?(なぜ流行る曲は似てる? なぜ駅前はさびれた?)
  • 「本当に?」:常識を疑ってみると?(この練習メニュー、本当に効果ある? 若者の◯◯離れって本当?)
  • 「どうしたら?」:変えたい・作りたいことは?(どうしたら廃棄を減らせる? 高校生が集まる場所を作るには?)

10個の興味×3つの型で、最大30個の問い候補ができます。この中から、「これ、ちょっと調べてみたいかも」と思えるものを2〜3個選んでください。1つに絞らなくていいのがポイントです。

ステップ③ 1週間だけ、小さく調べて手応えを確かめる

ここが一番大事です。テーマは、決めてから動くのではなく、動きながら決めるものです。選んだ2〜3個の問いについて、1週間だけ軽く調べてみてください。記事を読む、動画を見る、身近な人に聞いてみる——それだけで十分です。

調べてみると、「思ったより面白い」「意外と情報がない(=調べる価値がある)」「これは自分には遠いな」と、手応えの差がはっきり出ます。手応えのあったものが、あなたのテーマです。完璧なテーマを机の上で決めようとして何週間も止まるより、小さく動いた1週間のほうが、はるかに確実にテーマへたどり着けます。

それ、良いテーマ?——3つのチェック

候補が決まったら、最後にこの3つを確認してください。

  • 自分が気になっているか:先生や親が褒めそうなテーマではなく、自分が続きを知りたいテーマか
  • 調べる・試す方法があるか:文献だけでなく、アンケート、インタビュー、実験、制作など、自分で動いて確かめる手段があるか
  • 誰かに話したくなるか:調べたことを友達に話したくなるなら、それは本物。発表が楽しみになるテーマは強い

逆に、テーマが大きすぎると感じたら、範囲を絞りましょう。「食品ロスをなくすには」ではなく「うちのバイト先の廃棄を1割減らすには」。小さく具体的なテーマほど、探究は深くなります

探究は、入試のためだけじゃない。でも武器になる

知っておいてほしいのは、いま真剣に取り組んだ探究は、そのまま進路の武器になるということです。総合型選抜や学校推薦型選抜では、「何に興味を持ち、何を探究してきたか」を志望理由書や面接で語ることが評価の核心になります。借り物のテーマと、自分ごとのテーマの差が最もはっきり出るのが、この場面です。深掘りの質問に自分の言葉で答えられるのは、本当に探究した人だけだからです(詳しくはコラム「総合型選抜とは?探究学習が大学受験の武器になる理由を解説」)。

もちろん、入試で使わなくても、「自分で問いを立てて確かめる力」は大学でも仕事でも一生使えます。せっかく授業の時間が確保されているのだから、作業で流すのはもったいない。自分のために使ってしまいましょう。

一人で見つからないときは、「壁打ち相手」を持とう

ここまでの3ステップは一人でもできますが、正直に言うと、テーマ探しは誰かと話しながらのほうが圧倒的に速いです。自分では当たり前すぎて素通りしている興味を、他人は「それ面白いじゃん」と拾ってくれるからです。友達や先生との雑談、生成AIへの壁打ち(使い方はコラム「子どもと生成AI、どう付き合う?」)も有効です。

そして、テーマ探しから成果まで本格的に伴走してほしい人のために、私たち探究教室ESTEM(山形市本町・やまがたクリエイティブシティセンターQ1内/米沢市金池)には、中高生向けのキャリアプランがあります。月2回の1on1面談で、興味の棚卸しからテーマ設定、行動と振り返り、そしてコンテストや学会発表、推薦入試・総合型選抜での活用まで、個別に伴走するコースです。テーマが決まっていない状態からのスタートで大丈夫。面談は基本オンライン(Zoom)で月額15,000円(税込)、入会金・教材費はかからず、教室の自習室の通い放題も含まれています。これまでも生徒の学会発表やコンテスト参加、推薦入試での探究活動の活用といった実績が生まれています。

よくある質問

Q. テーマはSDGsから選ばないとダメですか?

A. 学校の指定がない限り、その必要はありません。SDGsは「世界の課題の地図」であって、テーマの出発点にしなければいけないものではないのです。自分の興味から出発したテーマも、掘っていけばたいてい何かのゴールにつながります。むしろ「自分の興味→結果的にSDGsのこの課題とつながっていた」という順番のほうが、説得力のある探究になります。

Q. 途中でテーマを変えてもいいですか?

A. かまいません。調べるうちに本当の関心が別の場所にあると気づくのは、探究が進んでいる証拠です。ただし、ゼロからやり直すのではなく、「なぜ最初のテーマでは物足りなかったのか」を言語化してから移ると、その過程自体が探究の一部になります。発表でも「テーマが変わった理由」は面白く語れるポイントです。

Q. 地味なテーマなのですが、大丈夫でしょうか?

A. 大丈夫です。むしろ有利です。壮大なテーマの浅い探究より、小さなテーマの深い探究のほうが、確実に評価されます。「バイト先の廃棄を減らす」「部活の練習メニューを検証する」——具体的で、自分で動いて確かめられるテーマは、発表でも質疑でも強い。テーマの派手さと探究の質は、関係ありません。

Q.(保護者の方へ)親にできることはありますか?

A. あります。テーマを提案することではなく、お子さんの興味を聞き役として引き出すことです。「最近何が面白い?」「それのどこが好きなの?」と雑談で聞き、出てきた興味を「くだらない」と評価しないこと。本文のステップ①②は、親子の会話でやると効果的です。家庭で難しければ、第三者の伴走を借りるのもひとつの方法です。

まとめ|テーマは「探す」ものではなく「自分から掘り出す」もの

最後にポイントをまとめます。

  1. テーマが決まらないのは、「立派なテーマ」を課題一覧から探しているから。出発点は自分の中にある
  2. テーマ=自分の興味×問い。「なんで?」「本当に?」「どうしたら?」の3つの型で変換する
  3. 決めてから動くのではなく、1週間小さく調べて、手応えで決める
  4. 小さく具体的なテーマほど探究は深くなり、進路の武器としても強くなる

探究のテーマは、あなたがすでに持っているものの中に埋まっています。SDGsの一覧を閉じて、自分が昨日、何に時間を使ったかを思い出すところから始めてみてください。

「テーマ探しから伴走してほしい」「探究を本気でやってみたい」という人は、探究教室ESTEMのキャリアプランをぜひ一度ご検討ください。オンラインなので、山形県内どこからでも受講できます。

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